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化学療法(抗がん剤治療)を受ける患者さんは治療のことや将来のことを不安に感じてしまっているものです。私もそうです。
看護師は入院中の患者さんに一番近くで関わる存在で、患者の気持ちによりそうことはもちろん、化学療法スケジュールが予定通りに実行すること、管理すること、患者の体調観察ができているのかを日々行なっていかなければなりません。
自分が患者の立場に立ってみて思ったのは、
私はきちんと看護を行えていただろうか、患者さんへ寄り添えていただろうか?と考えてしまいます。
副作用への対応について、一般的な看護もおさらいをしながら自身を振り返ってみようと思います。
化学療法の代表的な副作用は、
悪心・嘔吐、口腔粘膜炎・味覚障害、便秘・下痢、骨髄抑制、アレルギー、末梢神経障害、脱毛、リンパ浮腫、皮膚障害
そのうちの、悪心・嘔吐について看護師目線でまとめてみます。
悪心・嘔吐
化学療法による悪心・嘔吐は、がん治療に用いられる化学療法薬が引き起こす副作用で、患者さんの生活の質QOLに大きな影響を与えることがあります。これらの症状は、治療中や治療後に発生し、患者さんの体調や食事の摂取に困難をもたらすことがあります。化学療法副作用以外にも、イレウス、前庭機能障害、脳転移、オピオイドの使用、腸管蠕動運動麻痺の病態で、悪心嘔吐を生じることがあります。
化学療法による悪心・嘔吐の概要
悪心(おしん)
- 定義: 吐き気を感じる状態で、嘔吐の前兆として現れることが多いです。患者は気分が悪く、吐き気があると感じます。
- 症状: 胃のむかつき、気持ちが悪い、食欲の喪失など。
嘔吐(おうと)
- 定義: 胃の内容物を口から排出することです。悪心の状態が悪化すると嘔吐が起こります。
- 症状: 胃の内容物を吐き出すこと、腹部の痛み、脱水症状、食事や水分の摂取の困難など。
悪心・嘔吐が起こる主な原因とタイミング
- 化学療法薬の種類
- 悪心・嘔吐を引き起こしやすい薬剤: 一部の化学療法薬(例:シスプラチン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ドキソルビシン+シクロフォスファミド療法、エピルビシン+シクロフォスファミド療法など)は、嘔吐を引き起こしやすいです。これらの薬剤は、消化管の内壁に影響を与えたり、脳内の嘔吐中枢を刺激したりします。
- 薬剤の特性: 高用量や頻回の投与が、悪心・嘔吐のリスクを高めることがあります。
- 投与のタイミングと方法
- 治療開始後、急性: 化学療法薬の投与開始後、数時間から124時間以内に悪心や嘔吐が現れることがあります。急性型の悪心・嘔吐は投与直後から数時間以内に起こることが多いです。
- 遅発性: 24時間から120時間以内に現れることがあります。一部の化学療法薬は、投与後数日間にわたって悪心や嘔吐を引き起こすことがあります。
- 突出性:制吐剤予防投与しても発現
- 予期性:抗がん剤のことを考えただけで発現
- 患者の個体差
- 個体差: 患者によっては、化学療法に対する感受性が異なるため、同じ薬剤でも一部の患者には悪心・嘔吐が顕著に現れることがあります。
- 支持療法 時期や性質で薬剤を用いて症状予防または緩和します。
- 予防(急性〜遅発性):NK-1受容体拮抗薬5-HT3受容体拮抗薬などの、アプレピタント、ステロイド、オランザピン、オンダンセトロン
- 突出性:メトクロプラミド、プロクロルペラジン
- 予測性:ロラぜパム、アルプラゾラム
看護師としての対応
- 症状の監視と評価
- 観察: 悪心や嘔吐の症状を定期的に観察し、症状の頻度、程度、持続時間を記録します。
- 評価: 悪心や嘔吐の原因や重症度を評価し、必要に応じて対応策を検討します。
- 予防と対策
- 前投薬: 悪心や嘔吐の予防には、治療前に抗悪心薬(例:5-HT3受容体拮抗薬、NK-1受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬など)を投与することがあります。
- 投与の工夫: 薬剤の投与方法(例:静脈内投与や口服投与のタイミング)を調整し、悪心・嘔吐のリスクを軽減することがあります。
- 症状の管理
- 悪心の対処: 悪心を和らげるための薬剤(例:メトクロプラミド、オンダンセトロンなど)の投与や、非薬物療法(例:小さな食事の摂取、リラックス法)を行います。
- 嘔吐の管理: 嘔吐が続く場合、脱水症状の予防や電解質の補充を行います。また、食事や水分の摂取方法について指導します。
- 患者への教育とサポート
- 教育: 悪心や嘔吐の原因、対策方法、食事の工夫について患者に説明します。予防策や症状が現れた場合の対応方法をアドバイスします。
- サポート: 患者の不安を軽減するためのサポートや、食事の工夫について具体的な提案を行います。心理的なサポートも重要です。
- 悪心が強い場合は手持ちの制吐剤を服用することを説明します。
- 発熱や痛み、眩暈などの症状がある場合は必ず病院へ連絡してもらうよう指導します。
- 食べられる時に食べてみることを説明します。
- 医師との連携
- 報告: 悪心・嘔吐の症状やその進行状況を医師に報告し、必要に応じて治療方針の見直しや追加の対策を検討します。
- 治療の調整: 症状が重度の場合、化学療法薬の種類や用量の調整を検討します。
- フォローアップとモニタリング
- 定期的なチェック: 悪心・嘔吐の進行状況を定期的にフォローアップし、必要な調整や追加ケアを行います。
- 長期的な管理: 長期的な悪心・嘔吐が残る場合には、慢性的な管理やリハビリテーションの計画を立てます。
予防と対応の重要性
悪心・嘔吐は化学療法のよく見られる副作用であり、患者の生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。適切な管理と予防策を講じることで、症状を軽減し、患者が治療を受ける際の快適さを高めることができます。看護師としては、患者の状態を注意深く監視し、効果的な対策を講じることで、治療の成功と患者の安全を確保することが重要です。
私は悪心がありました。投与前にアロカリスという制吐効果の高い薬剤を投与するレジメンだったこと、悪心の時点で頓用の制吐剤を使用できるように薬剤処方をしてもらっていたことで防げたのかなと思います。
メトクロプラミドで眩暈と頭痛が出現し、オランザピンに変更してもらい就寝前服用で抗不安の効果でぐっすり眠れましたが、便秘になりました。
効果・副作用はそれぞれだと思いますが、調整は難しいものです。
代表的な支持療法薬
- アプレピタント(イメンドカプセル、プロイメンド):イメンド125mgは投与1時間から1時間30分前に内服、プロイメンド点滴共に1回投与、イメンド80mgは2日目以降朝1回5日間まで
- オランザピン(ジプレキサ錠、オランザピン錠):統合失調症・うつ症状改善薬ではあるが、抗がん剤での制吐剤として抗がん剤投与前から内服可能、一日1回6日間まで、夕食後就寝前服用が望ましいかも。糖尿病患者には禁忌。
- ロラぜパム(ワイパックス錠、ロラゼパム錠):神経症による不安、緊張に効果があり、抗がん剤投与1〜2時間前に投与、緑内障や重症筋無力症患者には禁忌、傾眠、注意力・反射能力低下の副作用がある
参考にしている本です。ちょっと年式が経っていますが、とても重宝しています。
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