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化学療法(抗がん剤治療)を受ける患者さんは治療のことや将来のことを不安に感じてしまっているものです。私もそうです。
看護師は入院中の患者さんに一番近くで関わる存在で、患者の気持ちによりそうことはもちろん、化学療法スケジュールが予定通りに実行すること、管理すること、患者の体調観察ができているのかを日々行なっていかなければなりません。
自分が患者の立場に立ったことで、
私はきちんと看護を行えていただろうか、患者さんへ寄り添えていただろうか?
と考えてしまいます。
副作用への対応について、一般的な看護を含めておさらいをしながら自身を振り返ってみようと思います。
化学療法の代表的な副作用は、
悪心・嘔吐、口腔粘膜炎・味覚障害、便秘・下痢、骨髄抑制、アレルギー、末梢神経障害、脱毛、リンパ浮腫、皮膚障害
そのうちの、口腔粘膜炎、味覚障害についてまとめていきます。
口腔粘膜炎・味覚障害
化学療法による口腔粘膜炎と味覚障害は、がん治療に使われる化学療法薬の副作用としてよく見られます。これらの症状は、患者さんの食事や栄養摂取に影響を与え、生活の質QOLを低下させる可能性があります。看護師としては、これらの症状を適切に管理し、患者さんの快適さを保つための対策が求められます。
口腔粘膜炎(口内炎)
定義
- 口腔粘膜炎: 口腔内の粘膜に炎症が生じる状態で、口内に痛みを伴う潰瘍や紅斑が現れます。これにより、食事や話すことが困難になることがあります。
症状
- 口腔内の痛み: 食事中や話すときに痛みを感じることがあります。
- 口内の潰瘍: 白い斑点や赤い斑点が口の中に現れることがあります。広範囲の紅斑や潰瘍形成(殺細胞性抗がん剤や放射線)、円形や楕円形の浅い潰瘍(小アフタ様、mTOR阻害薬)、複数個の小水疱と小潰瘍(ヘルペス性口内炎)、白色偽膜(舌苔)・発赤・口角炎・義歯の使用(カンジダ性口内炎)、歯肉の腫脹・排膿(菌性感染症)
- 口腔の乾燥: 唾液の分泌が減少することがあります。
- 出血: 重度の場合、口腔内の潰瘍から出血が見られることがあります。
味覚障害
定義
- 味覚障害: 味覚が正常でなくなる状態で、味を感じにくくなる、または異常な味を感じることがあります。
症状
- 味覚の喪失: 食べ物の味を感じにくくなることがあります。
- 味覚の変化: 食べ物が通常とは異なる味に感じられることがあります(例:金属的な味)。
- 口内の違和感: 食べ物や飲み物を摂取すると口の中に違和感を感じることがあります。
口腔粘膜炎・味覚障害が起こる主な原因とタイミング
- 化学療法薬の種類
- 口腔粘膜炎: 一部の化学療法薬(例:シスプラチン、メトトレキサート、フルオロウラシルなど)は、口腔内の細胞を攻撃し、炎症や潰瘍を引き起こすことがあります。
- 味覚障害: 同様に、化学療法薬が味覚を司る神経や味蕾に影響を与えることがあります。
- 傾向と頻度 細胞性抗がん剤:発現時期は7日目頃、ピークは10から14日、改善は21日から28頃、30〜40%m-TOR阻害薬:発現時期は投与1ヶ月以内、改善は発現から一週間程度、60%放射線頭頸部照射と抗がん剤併用:ほぼ100%
- 治療のタイミング
- 口腔粘膜炎: 化学療法の投与後、数日から1週間程度で口腔粘膜炎が発生することがあります。治療のサイクルによっては、治療期間中または治療後に症状が悪化することがあります。
- 味覚障害: 化学療法の開始後、数日から数週間以内に味覚の変化が現れることがあります。治療が進むにつれて味覚が変わることがあります。
- 個体差
- 患者の体質: 患者の体質や遺伝的要因によって、口腔粘膜炎や味覚障害の発生や重症度が異なることがあります。
私は舌が白くなって口腔内がぐずぐずになったのと、歯磨きペーストの味、マウスウオッシュの味、お茶の味がダメになって、金属製やプラスチック製のものに口をつけて飲むのも受け付けなくなりました。レモン水とガラスの容器が重宝しましたよ。
看護師としての対応
- 症状の監視と評価
- 観察: 口腔内の状態や味覚の変化を定期的に観察します。痛みの程度、潰瘍の有無、食事摂取の状態などを記録します。
- 評価: 口腔粘膜炎や味覚障害の程度を評価し、患者の食事や生活の質にどのような影響があるかを確認します。
- 症状の管理
- 口腔粘膜炎の対策: 痛みを和らげるための薬剤(例:局所麻酔薬、抗炎症薬)、口腔内の衛生管理(例:塩水でのうがい、無刺激性のマウスウォッシュの使用7-8回/日)を行います。ブラッシングは4回/1日、食事をしていなくても最低1日1回は行います。柔らかい食事や冷たい食べ物が口腔内の刺激を和らげることがあります。
- 潰瘍がある場合はステロイド外用薬や口腔粘膜保護剤エピシルを使用。
- 痛みがある場合は解熱消炎鎮痛薬や麻薬系鎮痛薬を使用、局所麻酔薬を混ぜたうがい薬を使用。
- 悪化予防:アズレンでうがい、市販の口腔内保湿剤を使用。
- 舌苔予防、除去。
- 味覚障害の対策: 味覚障害がある場合、調味料や香辛料を工夫して食事の味を改善します。また、食事の温度やテクスチャーを変えることで、食べやすくする方法を試みます。
- 患者への教育とサポート
- 教育: 口腔内のケア方法や、味覚障害に対する対策について患者に説明します。口腔内を清潔に保つことや、口腔内の痛みや不快感を軽減する方法についてアドバイスします。
- サポート: 食事の工夫や味覚障害に関する心理的なサポートを提供します。また、患者が困難を感じたときに相談できるサポート体制を整えます。
- 医師との連携
- 報告: 口腔粘膜炎や味覚障害の症状や進行状況を医師に報告し、必要に応じて治療方針の調整や追加の対策を検討します。
- 治療の見直し: 症状が重度の場合、化学療法薬の変更や用量の調整を検討する場合があります。
- フォローアップとモニタリング
- 定期的なチェック: 口腔粘膜炎や味覚障害の経過を定期的にフォローアップし、必要な調整や追加ケアを行います。
- 長期的な管理: 長期的な症状が残る場合には、慢性的なケアやリハビリテーションの計画を立てます。
予防と対応の重要性
口腔粘膜炎や味覚障害は、化学療法の副作用としてよく見られる症状であり、患者の食事摂取や生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。看護師としては、これらの症状を早期に発見し、適切な対策を講じることで、患者の快適さを保ち、治療の成功をサポートすることが重要です。また、患者に対する教育やサポートを通じて、これらの副作用に対処するための知識とスキルを提供することが大切です。
代表的な支持療法薬
- 生理食塩液:水でしみるとき
- アズレンスルホン酸ナトリウム水和物製剤+グリセリン(+リドカイン塩酸塩液)(アズノールうがい液4%など):痛む場合や食事前に使用、口内炎が改善するまで使用、リドカインは痛みが強い場合に使用
- 口腔内粘膜保護材(エピシル):化学療法による口内炎で口腔内疼痛がある時に使用、2〜3回/日塗布、30日を超えて使用しない
うがいは治療開始前から推奨です。
ぶくぶくうがいをします。
口腔内保清と、口内炎予防の効果があります。
参考にしている本です。ちょっと年式が経っていますが、とても重宝しています。
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