化学療法(抗がん剤治療)の一般的な副作用、便秘・下痢について

看護目線

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1つ前の記事でも書きましたが、化学療法(抗がん剤治療)を受ける患者さんは治療のことや将来のことを不安に感じてしまっているものです。私もそうです。

看護師は入院中の患者さんに一番近くで関わる存在で、患者の気持ちによりそうことはもちろん、化学療法スケジュールが予定通りに実行すること、管理すること、患者の体調観察ができているのかを日々行なっていかなければなりません。

自分が患者の立場に立ったことで、

私はきちんと看護を行えていただろうか、患者さんへ寄り添えていただろうか?

と考えてしまいます。

副作用への対応について、一般的な看護を含めておさらいをしながら自身を振り返ってみようと思います。

化学療法の代表的な副作用は、

悪心・嘔吐、口腔粘膜炎・味覚障害、便秘・下痢、骨髄抑制、アレルギー、末梢神経障害、脱毛、リンパ浮腫、皮膚障害 

これらのうち、便秘と下痢についてまとめて行きます。

便秘・下痢

化学療法による便秘と下痢は、がん治療に使われる化学療法薬の副作用で、消化管に影響を与えることがあります。これらの症状は患者の生活の質に大きな影響を及ぼし、適切な管理が必要です。看護師としては、これらの症状を把握し、適切な対応を行うことが重要です。

便秘(Constipation)

定義

  • 便秘: 排便が困難または不規則になり、便が硬くなり、排便頻度が減少する状態です。腹部の膨満感や痛みを伴うことがあります。

症状

  • 排便の頻度の減少: 通常よりも排便の回数が減少します(例:週に3回以下)。
  • 便の硬さ: 便が硬くなり、排便時に痛みを感じることがあります。
  • 腹部の膨満感: 腹部が張る感じがあり、不快感や痛みを伴うことがあります。

下痢(Diarrhea)

定義

  • 下痢: 排便の回数が増加し、便が水っぽくなる状態です。急激な腸の運動や腸内の炎症によって発生します。

症状

  • 排便の頻度の増加: 通常よりも排便の回数が増加します(例:1日に3回以上)。
  • 便の水分量の増加: 便が液体状に近くなることがあります。
  • 腹痛: 腹部の痛みやけいれんを伴うことがあります。

便秘・下痢が起こる主な原因とタイミング

  1. 療法薬の種類
    • 便秘: 一部の化学療法薬(例:オキサリプラチン、プラチナ系、タキサン系、ビンカアルカロイド系薬剤)や、制吐剤(5ーht3拮抗薬・グラニセトロンなど)、オピオイドなどは、腸の運動を抑制することで便秘を引き起こすことがあります。
    • 下痢: 一部の化学療法薬(例:イリノテカン、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、アファチニブなど)は、腸の粘膜に影響を与え、腸の運動を促進して下痢を引き起こすことがあります。

私は、初回シスプラチン投与後にかなりハードな便秘に苦しみました。それ以来、ちょっと緩いくらいが安心になってしまいました。2回目投与からは、前もって備えています。また、制吐目的で服用したオランザピンでも便秘がちになり、酸化マグネシウムがお守りのようになっています。

たがかが便秘、と思わず早めに対応して行きましょう。便秘が生命に関わることもありますよね・・

  1. 治療のタイミング
    • 便秘: 化学療法の投与後、数日から1週間以内に便秘が現れることがあります。治療の副作用として、腸の動きが鈍くなることがあります。がんの病態や腸閉塞、自律神経障害、電解質異常が原因の場合もあります。
    • 下痢: 化学療法の投与開始後、または免疫チェクポイント阻害薬によるものは数日から1週間以内に下痢が現れることがあります。治療が進むにつれて下痢が続くことがあります。骨髄抑制時期の二次感染で起こることがあります。
  2. その他の要因
    • 食事や水分摂取: 食事内容や水分摂取の変化も便秘や下痢の原因となることがあります。
    • 薬剤の相互作用: 他の薬剤との相互作用が、腸の動きに影響を与えることがあります。
    • ストレス: 精神的なストレスも消化管の機能に影響を与えることがあります。

看護師としての対応

  1. 症状の監視と評価
    • 観察: 便秘や下痢の症状を定期的に観察し、排便の頻度、便の状態、腹部の痛みなどを記録します。
    • 評価: 便秘や下痢の原因を評価し、患者の状態に応じた適切な対策を検討します。

排泄ケアナビより https://www.carenavi.jp/ja/jissen/ben_care/shouka/shouka_03.html

  1. 便秘の管理
    • 食事の調整: 食物繊維を含む食品(例:全粒穀物、果物、野菜)を摂取するように促します。また、十分な水分を摂取することが重要です。
    • 下剤の使用: 必要に応じて、下剤や便軟化剤を使用します。ただし、使用には慎重に注意し、患者の状態に合わせた適切な薬剤を選びます。
    • 運動: 軽度の運動(例:ウォーキング)を推奨し、腸の動きを促進します。
  2. 下痢の管理
    • 食事の調整: 消化に優しい食事(例:白米、バナナ、トースト)を摂取するように指導します。また、脂肪や繊維質が少ない食品を選ぶことが推奨されます。
    • 水分補給: 下痢による脱水を防ぐために、適切な水分補給を行います。電解質を含む飲料(例:経口補水液)を推奨します。
    • 抗下痢薬の使用: 必要に応じて、抗下痢薬(例:ロペラミド)を使用します。ただし、感染症の可能性がある場合は使用を避けることがあります。
  3. 患者への教育とサポート
    • 教育: 便秘や下痢の原因、対策方法、食事の工夫について患者に説明します。排便パターンの変化に気づいた場合には早めに相談するように指導します。
    • サポート: 便秘や下痢による不快感や心理的なストレスに対するサポートを提供し、患者の生活の質を維持します。
  4. 医師との連携
    • 報告: 便秘や下痢の症状や進行状況を医師に報告し、必要に応じて治療方針の調整や追加の対策を検討します。
    • 治療の見直し: 症状が重度の場合、化学療法薬の変更や用量の調整を検討する場合があります。
  5. フォローアップとモニタリング
    • 定期的なチェック: 便秘や下痢の経過を定期的にフォローアップし、必要な調整や追加ケアを行います。
    • 長期的な管理: 長期的な症状が残る場合には、慢性的なケアやリハビリテーションの計画を立てます。

予防と対応の重要性、支持薬

便秘や下痢は化学療法の副作用としてよく見られる症状であり、適切な管理と予防策を講じることが重要です。看護師としては、患者の症状を早期に発見し、適切な対策を講じることで、治療の成功と患者の安全を確保することが求められます。また、患者に対する教育やサポートを通じて便秘や下痢に対処するための知識とスキルを提供し、患者の生活の質を向上させることが大切です。

代表的な支持療法薬

  • 酸化マグネシウム便を大腸で潤し柔らかくする、腎機能が落ちている場合は使用注意。8-12時間で効果を期待。3回/日毎食後、2g/まで追加可能。
  • センノシド:プルゼニド、センノシドなど。大腸の運動を促す。8-12時間で効果を期待。2-4錠/回、効果がない場合は半日ほど様子を見て追加。
  • ロペラミド:ロペミンなど。大腸の動きを止める。数時間で効果がある。2時間しても効果が薄い場合は追加で1回分可。

毎日排便がないと便秘、なのではなく、回数や量、硬い、お腹が張る場合を便秘と言います。水分が不足しても、便秘になりやすいです。

下痢の場合は、感染性なのか薬剤性なのかで、止痢剤を使用するかどうかの判断になります。

参考にしている本です。ちょっと年式が経っていますが、とても重宝しています。

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