化学療法(抗がん剤治療)の一般的な副作用、骨髄抑制について

看護目線

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化学療法(抗がん剤治療)を受ける患者さんは治療のことや将来のことを不安に感じてしまっているものです。明るく振る舞っていても、不安ははふとした時などにやってきます。私もそうです。

看護師は入院中の患者さんに一番近くで関わる存在で、患者の気持ちによりそうことはもちろん、化学療法スケジュールが予定通りに実行すること、管理すること、患者の体調観察ができているのかを日々行なっていかなければなりません。

自分が患者の立場に立ったことで、

看護師自身が体験していない副作用や症状について、患者さんに寄り添うには、きちんと起こりうる事象を理解していなければならないな

と考えてしまいました。

副作用への対応について、一般的な看護を含めておさらいをしながら自身を振り返ってみようと思います。

化学療法の代表的な副作用は、

悪心・嘔吐、口腔粘膜炎・味覚障害、便秘・下痢、骨髄抑制、アレルギー、末梢神経障害、脱毛、リンパ浮腫、皮膚障害 

これらのうち、骨髄抑制についてまとめて行きます。

骨髄抑制

化学療法による骨髄抑制は、がん治療に使われる化学療法薬が骨髄に影響を与え、血液細胞の生成が抑制される状態を指します。骨髄は血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の生成を担う重要な組織であり、化学療法による骨髄抑制が起こると、これらの細胞の数が減少し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

骨髄抑制の概要

定義

  • 骨髄抑制: 化学療法薬の影響で骨髄の機能が低下し、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の生成が減少する状態です。

影響を受ける血液細胞

  • 赤血球: 酸素を運ぶ役割を担い、減少すると貧血の症状が現れます(例:疲労、息切れ、皮膚の蒼白)。
  • 白血球: 免疫機能を担い、減少すると感染症に対する抵抗力が低下します(例:発熱、感染症)。
  • 血小板: 血液の凝固を助け、減少すると出血のリスクが高まります(例:あざができやすい、出血しやすい)。

重大な骨髄抑制の副作用として、発熱性好中球減少症(FN:febrile neutoropenia)があり、好中球減少時に発熱を発症する症状です。

好中球とは・・・

好中球(こうちゅうきゅう、Neutrophil)とは、白血球の一つである。白血球は、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球からなる。顆粒球は、白血球の半分以上を占める。顆粒球のうち中性の色素でよく染まる顆粒を持つものが好中球、酸性色素で染まる顆粒を持つものが好酸球、塩基性色素で染まる顆粒を持つものが好塩基球である。

末梢血中の白血球の基準値は約3,500~9,000/µL、そのうち好中球が最も多く40~70%を占める。好中球の特徴は、1)遊走能2)貪食能3)殺菌能で、細菌や真菌など侵入物に対する最初の防御反応の中心的役割を果たす。異物侵入により生じた炎症性サイトカインなどの刺激により、血管内から血管外(組織中)に遊走し、侵入物を貪食し、顆粒中の酵素や活性酸素で消化、殺菌する。好中球は同時に死滅して膿となる。

好中球の末梢血中での寿命は1日以内である。好中球は骨髄内で発生し、造血幹細胞から分化、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、桿状球をへて核が分葉した分葉核球(好中球)に成熟する。骨髄には末梢血の10倍以上の貯蔵があり、末梢での好中球消費が激しいときには骨髄から動員される。このとき見られる、成熟前の桿状核球までが末梢血に出現する現象を「核の左方移動」という。末梢血に見られるのは桿状核球と好中球のみである。

好中球の増加

・細菌、真菌感染症、血管炎、梗塞など組織の炎症や壊死を伴う疾患
・急性出血
溶血
慢性骨髄性白血病
・真性多血症など骨髄増殖性腫瘍
・固形悪性腫瘍・副腎皮質ステロイド
喫煙
運動、食事などによっても一時的にみられる

好中球の減少

ウイルス感染・重症感染症・骨髄の障害による減少(再生不良性貧血悪性貧血、急性白血病、骨髄線維症など)
・脾機能亢進肝硬変など)
・好中球に対する自己免疫疾患・抗癌剤や抗菌薬、抗けいれん薬、抗甲状腺薬、抗不整脈薬などの薬剤の使用

好中球数が1,000/µL以下になると感染症にり患する危険が高まり、500/µL以下になると重症感染症を合併しやすいため、特に発熱を伴う場合は発熱性好中球減少症として厳密な感染症対策がとられる。

看護roo!より引用 https://www.kango-roo.com/word/2080

骨髄抑制が起こる主な原因とタイミング

  1. 化学療法薬の種類
    • 骨髄抑制を引き起こす薬剤: 一部の化学療法薬(例:シスプラチン、ドキソルビシン、メトトレキサートなど)は、骨髄の機能に影響を与え、血液細胞の生成を抑制します。これらの薬剤は骨髄の細胞に直接的な毒性を持ちます。
  2. 治療のタイミング
    • 治療後のタイミング: 化学療法の投与後、数日から数週間以内に骨髄抑制が現れることがあります。治療の種類や用量、投与頻度によって影響の度合いが異なります。
    • 治療のサイクル: 化学療法のサイクルによって、骨髄抑制が周期的に現れることがあります。治療後に血液細胞の回復が見られ、次の治療サイクルで再び抑制が起こることがあります。
    • 好中球数減少が最も進むのは投薬後10日から14日とされ、3〜4週で回復が認められます。支持療法として、抗菌薬投与と顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF製剤)の投与をすることがあります。
  3. 個体差
    • 患者の体質: 個々の患者の体質や健康状態により、骨髄抑制の程度や発生タイミングが異なることがあります。また、既存の血液疾患や過去の治療歴も影響を与えることがあります。

私は血小板がとても下がり、血小板輸血をしました。

看護師としての対応

  1. 症状の監視と評価
    • 血液検査の実施: 定期的に血液検査を実施し、赤血球、白血球、血小板のレベルを監視します。これにより、骨髄抑制の程度を評価し、適切な対策を講じることができます。
    • 症状の観察: 貧血、感染症の兆候、出血の兆候などを観察し、患者の状態に変化がないかを確認します。
  2. 感染症予防と管理
    • 衛生管理: 感染症のリスクを低下させるため、患者に適切な衛生管理(手洗いや消毒)を指導します。また、感染症の兆候(発熱、咳など)に早期に対応します。
    • 抗生物質の使用: 必要に応じて、感染症を予防または治療するために抗生物質を使用します。感染症のリスクが高い場合は、予防的使用を検討します。
  3. 貧血の管理
    • 貧血の症状管理: 貧血の症状を管理するために、適切な栄養(例:鉄分を含む食品やサプリメント)や、場合によっては輸血を検討します。
    • 患者教育: 疲労や息切れを軽減するための生活習慣や運動方法について患者に説明します。生物を食べる場合は新鮮なものを選び、包丁やまな板の殺菌、消毒に注意します。
  4. 出血リスクの管理
    • 出血予防: 出血のリスクを低下させるため、患者に出血を促進する活動(例:重いものを持つ、血液をさらさらにする薬剤の使用)を避けるように指導します。
    • 止血管理: 出血の兆候がある場合には、止血処置を行い、必要に応じて血小板輸血を検討します。
  5. 医師との連携
    • 報告: 骨髄抑制の症状や進行状況を医師に報告し、治療方針の調整や追加の対策を検討します。
    • 治療の調整: 症状が重度の場合、化学療法薬の変更や用量の調整を行うことがあります。
  6. フォローアップとモニタリング
    • 定期的なチェック: 骨髄抑制の経過を定期的にフォローアップし、必要な調整や追加ケアを行います。
    • 長期的な管理: 長期的な骨髄抑制が残る場合には、慢性的なケアやリハビリテーションの計画を立てます。

予防と対応の重要性

骨髄抑制は化学療法の一般的な副作用であり、適切な管理が必要です。看護師としては、骨髄抑制を早期に発見し、適切な対策を講じることで、患者の安全を確保し、治療の成功をサポートすることが求められます。また、患者に対する教育やサポートを通じて、骨髄抑制に対処するための知識とスキルを提供し、患者の生活の質を向上させることが大切です。

参考にしている本です。ちょっと年式が経っていますが、とても重宝しています。

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