化学療法(抗がん剤治療)の一般的な副作用、末梢神経障害について

看護目線

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化学療法(抗がん剤治療)を受ける患者さんは治療のことや将来のことを不安に感じてしまっているものです。明るく振る舞っていても、不安ははふとした時など急にやってきます。私もそうです。

看護師は入院中の患者さんに一番近くで関わる存在で、患者の気持ちによりそうことはもちろん、化学療法スケジュールが予定通りに実行すること、管理すること、患者の体調観察ができているのかを日々行なっていかなければなりません。

自分が患者の立場に立ったことで、

看護師自身が体験していない副作用や症状について、患者さんに寄り添うには、きちんと起こりうる事象を理解していなければならないな

と考えてしまいました。

というわけで、副作用への対応について、一般的な看護を含めておさらいをしながら自身を振り返ってみようと思います。

化学療法の代表的な副作用は、

悪心・嘔吐、口腔粘膜炎・味覚障害、便秘・下痢、骨髄抑制、アレルギー、末梢神経障害、脱毛、リンパ浮腫、皮膚障害 

これらのうち、今回は末梢神経障害についてまとめてみます。

末梢神経障害

化学療法による末梢神経障害は、がん治療に使われる化学療法薬が末梢神経に影響を及ぼすことによって生じる神経系の障害です。末梢神経障害は、神経の機能が損なわれることで、感覚や運動に関連する問題が発生します。看護師としては、このような副作用を適切に管理し、患者の生活の質を向上させるための対応が重要です。

末梢神経障害の概要

末梢神経障害の特徴

  • 感覚障害: 手足のしびれ、感覚鈍麻、チクチクする感じ、焼けるような痛みなど。
  • 運動障害: 筋力の低下、手足のふらつき、歩行困難など。
  • 自律神経障害: 発汗異常、血圧の変動、消化不良など、内臓の調整に関連する症状。

末梢神経障害が起こる主な原因とタイミング

  1. 化学療法薬の種類
    • タキサン系薬剤: 例えば、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)などは、末梢神経障害を引き起こしやすいです。
    • 植物アルカロイド系薬剤: ビンクリスチン、ビンブラスチンなども末梢神経障害を引き起こすことがあります。
    • その他の薬剤: その他の化学療法薬でも、末梢神経に影響を与えることがあります。
  2. 投与量と期間
    • 高用量: 高用量や長期間の治療では、末梢神経障害のリスクが増します。
    • 累積量: 薬剤の累積量が増えるほど、神経障害のリスクも高まります。
  3. 個体差
    • 患者の体質: 個々の患者の遺伝的要因や健康状態によって、神経障害の発生や重症度が異なることがあります。
  4. 治療の組み合わせ
    • 複数の薬剤: 複数の化学療法薬を併用している場合、それぞれの薬剤が神経に与える影響が相乗的に働くことがあります。

下記は静岡がんセンターのサイトより引用、代表的な薬剤一覧です。

末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤について | 静岡がんセンター

看護師としての対応

  1. 症状の監視と評価
    • 観察: 末梢神経障害の症状(しびれ、痛み、筋力低下など)を定期的に観察します。患者の訴えや症状の変化を注意深くチェックします。
    • 評価: 症状の程度や進行状況を評価し、必要に応じて専門家と連携して対応を検討します。患者さんによって体感が異なるので、評価スケールはNRSが良いかもしれません。
  2. 症状の緩和と管理
    • 痛みの管理: 神経障害による痛みには、適切な痛み止めや神経障害に特化した薬剤(例:抗てんかん薬、抗うつ薬など)を使用します。患者の痛みの程度や効果をモニタリングし、調整が必要です。
    • 感覚障害の対応: しびれや感覚鈍麻に対しては、適切なスキンケアや、転倒予防のための支援(例:歩行補助具の使用)を行います。
  3. 生活の質の向上
    • 運動療法: 軽度の運動療法や理学療法を通じて、筋力の維持やバランスの改善を図ります。適切な運動やリハビリテーションのプログラムを提供します。
    • 生活指導: 自宅での生活環境を安全に保つためのアドバイス(例:滑り止めのマットの使用、家具の配置など)を行います。
  4. 患者への教育とサポート
    • 教育: 末梢神経障害の可能性や症状、予防策について患者に教育します。症状が出た場合の対応方法や、自己管理のポイントについて説明します。
    • サポート: 神経障害による生活の変化や心理的なストレスに対するサポートを提供し、必要に応じてカウンセリングや支援グループへの紹介を行います。
  5. 医師との連携
    • 報告: 末梢神経障害の症状や進行状況を医師に報告し、治療方針の調整や追加の検査を検討します。
    • 治療計画の見直し: 神経障害が重度の場合、治療薬の変更や減量、休薬を検討する場合があります。
  6. フォローアップとモニタリング
    • 定期的なチェック: 神経障害の進行状況を定期的にフォローアップし、必要な調整を行います。
    • 長期的な管理: 長期的な神経障害が残る場合、慢性的なケアやリハビリテーションの計画を立てます。

私は、手足に力が入らない、舌に力が入らない、がありました。話しづらいというか、呂律が回らないまではいかないですが、滑舌が悪くなりました。

日常生活でのものを掴んだり、蓋を開けたりが不便でした。

代表的な支持療法薬プレガバリン(リリカOD錠)

神経障害性疼痛に対して、一日150mgを1日2回にわけて経口投与し、その後一週間以上かけて一日300mgまで増減する。1日600mgまで増やすことができる。急な増量はふらつきや傾眠などの有害事象を発現する恐れがある。頓服は推奨されない。

予防と対応の重要性

末梢神経障害は化学療法の一般的な副作用であり、適切な管理と予防が重要です。看護師としては、患者の神経障害を早期に発見し、適切な対策を講じることで、症状の悪化を防ぎ、患者の生活の質を向上させることが求められます。また、患者に対する教育やサポートを通じて、神経障害に対する理解を深め、効果的な対策を講じることが大切です。

参考にしている本です。ちょっと年式が経っていますが、とても重宝しています。

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